退去費用を抑えたい!
退去費用ってどこまで払わなくちゃいけないの?
賃貸物件では、「退去費用が高すぎて払えない」という退去費用トラブルがよく発生します
実際には支払う必要のない請求が来たり、何もわからない状態で退去費用として請求された額を全部払ってしまったりと、トラブルがたくさんあります。
今回は宅建士と賃貸不動産経営管理士の私が、賃貸物件の退去費用について解説していきます。
退去費用とは?
退去費用とは、「原状回復義務により入居者が負担しなければならない修繕費」のことです。
わかりやすく言うと、その部屋を次の入居者が住める状態にするための原状回復費用、クリーニング費用のことです。
入居時に敷金を払っていれば、その敷金が修繕費に充てられ、敷金を払っていなければ別途原状回復にかかった修繕費を払うことになります。
原状回復は「ふつうに生活して発生する傷みや汚れ以外の消耗を現在の価値まで復旧すること」です。
例えば、冷蔵庫を置いてできた床のへこみ、画鋲の穴の補修、テレビの背面の電気やけの補修などは退去者が負担する必要はありません。
原状回復義務は賃貸契約書に記載されていることが多いため、退去までにしっかりと確認しておきましょう。
賃貸の退去費用の相場
実際の退去費用の相場を見ていきましょう。
借主が過失や故意により、大きな損耗を発生させていない場合の一般的な退去費用をお見せします。
広さ | 退去費用(相場) |
1R・1K・1DK(20~30㎡) | 約20,000~40,000円 |
1LDK・2DK(30~50㎡) | 約40,000~70,000円 |
2LDK・3DK(50~70㎡) | 約50,000~80,000円 |
3LDK・4LDK(70~90㎡) | 約70,000~90,000円 |
表を見てわかるように、退去費用は部屋が広くなるのに比例して高くなる傾向があります。
退去費用の項目
退去費用の項目について、大家負担となるものと借主負担になるものについて以下の表にまとめました。
大家負担となるもの |
・家具家電の設置によりできた床の凹み |
・畳や壁の日焼けによる変色 |
・エアコン設備のビス穴、跡 |
・壁の画鋲の穴 |
・テレビ、冷蔵庫などによる壁の黒ずみ |
借主負担となるもの |
・引っ越し作業でついた傷 |
・タバコなどによるクロスの変色、臭い |
・ペットによってついた傷、臭い |
・ガスコンロや換気扇などの油汚れ |
退去費用を抑えるためのポイント
- 退去前に部屋をきれいに掃除しておく
- 原状回復の範囲を知っておく
- 契約内容、ガイドラインをしっかり把握しておく
- 日ごろからこまめに掃除をし、綺麗にしておく
退去前に部屋をきれいに掃除しておく
壁や床の汚れや油汚れがあると、部分清掃代として追加で費用がかかってしまう場合があります。
部屋を汚く使って、カビが生えていたり、シミが色んな所についていたりすると、もちろんクリーニング代を取られてしまうことになります。
退去前に部屋と水回りの掃除をしておき、きれいな状態で部屋を返すようにしましょう。
原状回復の範囲を知っておく
原状回復は「借りたときの状態に戻して返すこと」と勘違いしている人がいますが、正しくは「過失や故意により生じた修繕費を現在の価値の分だけ負担すること」です。
つまり、
【入居者が負う原状回復義務】=「入居者の故意による過失の補修費用のみ」
【大家負担】=「自然損耗による建物価値の減少分の回復」
「部屋を借りたときの状態に戻して返すこと」ということは、大家が負担すべき「自然損耗による建物価値の減少分の回復」まで含まれており、正確ではありません。
これについては、裁判所の判例や国土交通省のガイドラインでも示されています。
契約内容、ガイドラインをしっかり把握しておく
トラブルを避けるために、賃貸借契約書の内容は退去前にしっかり確認しておきましょう。
契約内容やガイドラインを把握していることを、不動産屋や管理会社に伝えることで退去費用のぼったくりにあう確率はかなり低くなります。
国土交通省は、原状回復や退去費用のトラブルが多いので「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を出しています。
だまされる可能性は低くなるし、今後にも役に立つので、退去前に一度目を通しておきましょう。
日ごろからこまめに掃除をし、部屋を清潔に保つ
入居者の過失によりついた傷や汚れの修復は、入居者負担で修繕しなければなりません。
日ごろの手入れや掃除で落とせる汚れや傷なのに、そのためにクリーニング代を払うのはもったいないです。
日ごろから部屋をきれいに使用して、少しでも退去費用を抑えましょう。
まとめ
今回の記事は、賃貸物件の退去費用について解説しました。
退去費用は、原状回復費用とハウスクリーニング費用となり、住んだ年数や間取り、広さによって相場も変わってきます。
しかし、負担する費用は通常の使用を超えてついた損傷分だけで、すべての費用を借主が負担する必要はありません。
原状回復などのルールを理解しておき、今回の記事も参考にし、知識を身につけ、退去費用に関するトラブルを未然に防ぎましょう。